療育手帳を取得している方が気になるのはその使い道やメリットです。
福祉サービスは様々ですが、一番のメリットは税金控除ではないかと思います。
そもそも療育手帳を取得していると年末調整でどの程度恩恵を受けられるのでしょうか?
療育手帳による税金控除のタイミングについて
療育手帳を取得していると障害者控除として所得税・住民税が控除されます。
それでは、いつどのタイミングで税金が控除されるのか?というのが気になりますよね。
答えは簡単でして、サラリーマンの方は「年末調整」、自営業などの方は「確定申告」をすることによって税金が控除されます。(住民税は前年度の所得をもとに翌年の6月から控除)
今回はサラリーマンの方が対象の「年末調整」にスポットを当てて詳しく説明していきたいと思います。
年末調整はその名の通り年末の12月のお給料で1年分の所得税を調整することを言います。
サラリーマンの方が税金控除を受けるには「扶養控除申告書」を提出し、毎月概算で所得税が計算され、年末調整によって毎年12月に調整されることになります。
年末調整でどのくらい税金が控除される?
年末調整の考え方
年末調整は1年間の所得税を調整する役割を持っていまして、きちんと「扶養控除申告書」により申告をすれば多く払っていいた分が年末調整により戻ってくる仕組みとなっています。
所得税については、1年間の所得で額を掲載することになりますので、年の途中で療育手帳を取得し、控除を受けることになった場合は、その年内の所得に対して控除されることになります。
療育手帳の区分による控除額
それでは、療育手帳を持っているとどのくらいの税金が控除されることになるのでしょうか?
所得税控除の区分としてそれぞれ以下のようになっています。
区分
|
控除額 |
障害者 |
27万円
|
特別障害者
|
40万円
|
同居特別障害者
|
70万円
|
(国税庁HPより)
この控除額を年間所得から控除して所得税を計算することになります。
このままの額がそのまま直接戻ってくるということではありませんのでご注意ください。
この区分と療育手帳の判定が対応しています。
療育手帳は知的障害者に発行されるものですが、判定で「A」や「B」というものがあります。判定が「A」だと重度の障害、「B」だとその他とされています。
区分「障害者」は療育手帳の「B」判定
区分「特別障害者」は療育手帳の「A」判定 (特Aなどもこちらです。)ということになります。
「特別障障害者」の中で、同一生計である扶養親族などが常時同居している場合に該当します。逆に言うと常時施設などに入所されている方は対象になりません。
所得控除の具体的な例
それでは、具体的にどのくらい平成29年度の控除額を概算で計算してみました。
※計算した数字は概算(おおよその数字)になりますのでご注意ください。
(例1)本人30歳・年収400万円 妻30歳・無職、子供10歳の場合
本人30歳・年収400万円の場合で妻30歳無収入子供10歳の場合で考えてみます。
条件として、社会保険料年間60万円 生命保険20万円 を支払っていたと仮定すると、
<通常のケース>
所得税はおよそ「6万円」で、住民税はおよそ「13万5千円」になります。
<療育手帳判定「B」のケース>
子供が療育手帳「B」判定の場合だと
所得税はおよそ「4万5千円」で、住民税はおよそ「11万円」になります。
通常のケースより所得税が「ー1万5千円」、住民税が「ー2万5千円」となります。
<療育手帳判定「A」で同居しているケース>
子供が療育手帳「A」判定の場合だと
所得税はおよそ「2万5千円」で、住民税はおよそ「7万5千円」になります。
通常のケースより所得税が「ー3万5千円」、住民税が「ー6万円」となります。
(例2)本人35歳・年収600万円 妻35歳・無職、子供10歳の場合
本人35歳・年収600万円の場合で妻35歳無収入子供12歳の場合で考えてみます。
条件として、社会保険料年間72万円 生命保険25万円 を支払っていたと仮定すると、
<通常のケース>
所得税はおよそ「18万円」で、住民税はおよそ「28万5千円」になります。
<療育手帳判定「B」のケース>
子供が療育手帳「B」判定の場合だと
所得税はおよそ「15万5千円」で、住民税はおよそ「26万円」になります。
通常のケースより所得税が「ー2万5千円」、住民税が「ー2万5千円」となります。
<療育手帳判定「A」で同居しているケース>
子供が療育手帳「A」判定の場合だと
所得税はおよそ「11万5千円」で、住民税はおよそ「23.5万円」になります。
通常のケースより所得税が「ー6万5千円」、住民税が「ー5.5万円」となります。
(例2)本人45歳・年収800万円 妻45歳・無職、子供16歳の場合
本人45歳・年収800万円の場合で妻45歳無収入子供16歳の場合で考えてみます。
条件として、社会保険料年間110万円 生命保険40万円 を支払っていたと仮定すると、
<通常のケース>
所得税はおよそ「30万円」で、住民税はおよそ「42万円」になります。
<療育手帳判定「B」のケース>
子供が療育手帳「B」判定の場合だと
所得税はおよそ「24万5千円」で、住民税はおよそ「40万円」になります。
通常のケースより所得税が「ー5万5千円」、住民税が「ー2万円」となります。
<療育手帳判定「A」で同居しているケース>
子供が療育手帳「A」判定の場合だと
所得税はおよそ「20万円」で、住民税はおよそ「37万円」になります。
通常のケースより所得税が「ー10万円」、住民税が「ー5万円」となります。
数字で見るとかなり控除されていることがわかります。
このように数字で見ると障害者の社会保障は大きいと感じます。
まとめ
年末調整ってなかなか難しくて数字が見えてこない部分があります。
しかし、通常のケースと比較してみると療育手帳で受ける税金控除の額は大きく、社会保障の恩恵を大きく受けていると思います。
障害者や障害者の家族を支えていこうという社会の動きが税制度にも表れていると思います。
この点からも療育手帳を取得するメリットは大きいと思います。療育手帳は税金控除以外も地方自治体により様々なサービスを受けらますので、取得の対象になるけども、まだ交付を受けていない方はぜひお子さんのためにも交付を受けることを考えてみてください。
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